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ベンチャー企業の広告エンジニアのブログ

広告の基本 - 広告サーバの目的

はじめに

広告を配信する仕組みを一般的に広告サーバと呼びますが,今回は,広告サーバの目的と重要な要素について簡単に説明したいと思います. 広告用語について分からない場合は下記エントリを確認してください.

inchom.hatenadiary.jp

広告サーバとは?

広告サーバ(Ad Server)とは,広告主が入稿した広告を,メディア上に表示させて,それをユーザが見て購買行動(コンバージョン)を起こすことで収益を得るシステムのことです.

以下に簡略化した仕組みを図にしています.

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広告主は予め広告サーバに広告を入稿しておきます.その後,ユーザがコンテンツ(Webページ/アプリページ)へのアクセスをすると,ページ内に埋め込まれた情報から広告サーバにアクセスして広告を取得する,といった流れになります.

広告サーバの目的

広告サーバは広告による収益を最大化することが目的になります.

具体的には,広告の1000回表示あたりの収益(eCPM)を最大化することにフォーカスすることになります.

広告サーバに必要な要素

eCPMを最大化するためには,以下の3点が重要になります.

  • 収益の機会損失を失くす
  • 収益性の高い広告の配信
  • 高精度の成果計測

以下にそれぞれの要素について説明します.

機会損失を失くす

収益の機会損失を失くすためには,それらの原因を一つずつ取り除く根気のいる作業が必要になります. 機会損失の原因は様々なケースが考えられますが,代表的には以下のようなものになります.

広告サーバの停止による広告表示不能

広告サーバの停止による広告表示不能とは,システムに何らかの障害が起きるなどして,広告サーバ全体あるいは一部がダウンしてしまい,システムが広告を返せなくなることです.これにより,広告収益がなくなり収益性が下がってしまいます.

また,メディア側で広告が表示されるはずだった箇所が空白で表示されることで,ユーザ体験を阻害することもあります.

過去に,Googleの広告サーバが障害により停止して,約2時間で1億円近い損失が出たなどの事例があります.

このような問題を完璧に防ぐのは不可能に近いですが,そのような問題が起きる確率を極限まで減らすために,単一障害点を一つずつ取り除くことや,問題が起きた場合の原因究明,復旧のスピードを上げることが重要になります.

応答性能劣化による広告表示遅延

応答性能劣化による広告表示遅延とは,システムに対するリクエストが増えるなどして,システム側で処理が追いつかなくなり,応答に遅延が発生してしまうことでメディア側の広告表示が遅れることです.これにより,本来ユーザが見るはずだった広告を見逃す確率が高まり,クリックやコンバージョンされる確率が低くなることで収益性が低下してしまいます.

また,広告を表示するメディアのページの広告のロードが遅れることで,ユーザ体験を阻害することもあります.

このような問題を防ぐためには,スケールアウト可能なシステム設計にすること,リクエスト増加を見積もることで事前にシステムの応答性能を高めることが重要になります.

恒常的に100msec程度の応答性能しかでていない場合は,応答性能を高めることで機会損失がなくなり,広告選定ロジック改善以上の効果が得られるケースもあります.

収益性の高い広告の配信

収益性の高い広告とは,単価が高く,クリックやコンバージョンされやすい広告のことをいいます.つまり,eCPMが高くなる広告ということなります. eCPMが高くなる広告をより多くだせば,同じ量のインプレッションでも収益が高くなります.

どの広告がクリックやコンバージョンがされやすいかどうかについては,広告を見るユーザによって異なるため,ユーザごとにどの広告をクリックしやすいかを見つける必要があります.クリックしやすいと思われるユーザに対して特定の広告を配信することをターゲティングと呼び,現在様々な手法が存在しています.

細かくは説明しませんが,以下のような手法が一般的です.(どこかでまた細かく説明します)

  • リターゲティング
  • ユーザ属性ターゲティング
  • オーディエンスターゲティング
  • 拡張オーディエンスターゲンティング
  • コンテンツターゲティング

また,同様に,ユーザに対してクリックされにくい広告を配信しないことも重要になります.

これはターゲティングと対比して,ネガティブターゲティングと呼ばれます.

ネガティブターゲティングでは,以下のような手法が一般的です.

  • ユーザフリークエンシー(FQ)制限
  • デリターゲティング

上記のように様々な手法が存在しているのですが,どれも銀の弾丸ではなく,処理速度とのトレードオフや縮小最適化(効果が良い部分のみに注力することで配信ボリュームがでなくなる)問題が存在します.

そのため,地道なA/Bテストで効果検証をしつつ(実際にはA/Bテストも難しいのですが),最適な手法を見つける必要があります.

高精度の成果計測

高精度の効果計測とは,コンバージョンの計測の精度を高めることです. 広告クリックからコンバージョン計測までの一連の流れを計測ツールを使わずに自社製にすることで計測漏れをなくしたり,広告をクリックしたとしても,すぐにコンバージョンしなかったり,オフラインで購買するなどで,今までは計測できていないものを計測できるようにすることで,広告のクリックの価値を間接的に高めることです.

クリックしてもすぐにコンバージョンしなかったりして,後日検索するなどしてコンバージョンすることを間接コンバージョンと呼び,Cookieなどで追跡する手法が存在します.

ロジック改善のようにあまり注力される点ではないのですが,Facebookなどでは成果計測の精度を上げることで1ユーザあたりの収益性を高めたケースが存在します.

jp.techcrunch.com

終わりに

今回は,広告サーバについて,その目的と重要な要素についてまとめました.

簡単に箇条書きにすると以下のようになります.

  • 広告サーバの目的

    • 収益性を最大化すること
  • 重要な要素

    • 収益の機会損失を失くすこと
    • 収益性の高い広告の配信
    • 高精度の成果計測

重要な要素を満たすために具体的にどのようなシステム設計するべきかや,今回説明しきれなかった部分については後日まとめたいと思います.